電話番としてパートを雇う場合と電話代行を使う場合の比較は、時給と月額を並べるだけでは成立しません。人を雇うときは、時給以外に採用・教育・離職の費用が発生するためです。
ここでは見落とされやすい費目を含めて、年間の総コストを試算します。
時給だけの比較が成り立たない理由
最初に、どの費目が抜けがちかを確認します。
採用にかかる費用と工数
求人媒体への掲載費は、無料のものから数万円のものまで幅があります。加えて、応募対応、面接、選考の判断に社員の時間が取られます。時間単価3,000円の管理職が採用に10時間使えば、それだけで30,000円相当の工数です。
教育期間中は生産性が上がらない
入社直後から自社の商品名や担当者を把握できる人はいません。1〜2週間は誰かが横で教える必要があり、教える側の時間も費用として発生します。電話対応だけの業務でも、取次の判断基準を身につけるには一定の期間がかかります。
離職したら最初から繰り返す
最も見落とされるのがこれです。パート雇用は定着期間が短くなる傾向があり、辞めれば採用と教育を再度行うことになります。年に一度入れ替わるなら、採用費と教育工数が毎年発生します。
年間の総コストを試算する
条件をそろえて比較します。パートは時給1,200円、1日4時間、月20日勤務とし、電話代行は月額20,000円で上限200件、超過1件300円の前提で計算します。
パート受付の場合
給与は1,200円×4時間×20日=96,000円で、年間1,152,000円です。これに社会保険料の事業主負担が加わる場合は、条件次第で年間10万円以上増えます。採用費に求人掲載30,000円と選考工数30,000円、教育に指導者の20時間分60,000円を見込むと、初年度は合計で約1,272,000円になります。
1年で離職して再採用すれば、翌年も採用費と教育費の120,000円が再発生します。
電話代行の場合
月額20,000円で年間240,000円です。受電が月260件で超過が60件なら、18,000円×12=216,000円が加わり、年間456,000円になります。採用費も教育費も発生せず、担当者の入れ替わりも自社の負担にはなりません。
- パート受付 … 初年度約127万円、離職時は毎年12万円が再発生
- 電話代行 … 年間約46万円、採用・教育の負担なし
費用以外の違いを押さえる
数字ではパートのほうが高くなりますが、それだけで結論にはなりません。
パートにしかできない業務がある
来客対応、郵便物の処理、備品管理、書類の整理などは、電話代行では引き受けられません。電話以外の業務も任せるなら、比較対象が変わります。電話だけを切り出せるかを先に確認してください。
電話代行は対応時間を広げやすい
パート1人では4時間しかカバーできず、残りの時間は誰かが電話を受けることになります。電話代行なら営業時間全体や時間外まで範囲を広げられます。同じ範囲をパートで埋めるには複数人の雇用が必要で、費用は倍以上になります。
業務量の変動に対応できる
繁忙期に件数が増えても、パートの勤務時間はすぐには変えられません。電話代行は超過料金で吸収でき、プラン変更で調整もできます。閑散期に人が余る心配もありません。
どちらを選ぶかの判断軸
最後に、自社の状況に当てはめる手順を示します。
電話以外の業務量を確認する
来客や書類業務が日常的に発生していて、人が常駐している必要があるなら、パート雇用のほうが合理的です。その場合、電話対応は付随業務として扱われ、コスト比較の前提が変わります。
必要な対応時間を確認する
必要な時間が9時から18時までなら、パート1人では足りません。複数人体制の費用と電話代行を比べてください。時間外や土日も必要なら、差はさらに開きます。
併用も検討する
日中は常駐のパートが受け、時間外と昼休みを電話代行が補う形もあります。来客対応が必要で、かつ取りこぼしも防ぎたい場合に現実的な選択です。
「ただいま席を外しております。折返しのご連絡先をお伺いできますでしょうか」
昼休みや不在時間の応対を代行に任せるだけでも、取りこぼしは減らせます。
まとめ
パート受付と電話代行の比較では、時給だけでなく採用費、教育工数、離職時の再採用コストを含める必要があります。試算例では初年度で約127万円対46万円と差が開きました。
ただし来客対応などの常駐業務があるなら、パート雇用が妥当な場合もあります。電話だけを切り出せるか、必要な対応時間は何時間かという二点で判断してください。まずは自社の受付業務のうち、電話以外が何割かを確認しましょう。