電話代行を2社以上契約するという発想は、あまり一般的ではありません。ただし対応時間を広げたい場合や、業務の性質が大きく異なる場合には意図的に分けるほうが合理的なことがあります。
一方で、管理の手間は確実に増えます。ここでは併用が有効な条件と、避けたほうがよい場合を整理します。
併用が検討される三つの理由
まず、どんな動機から複数社を考えるのかを整理します。
対応時間を広げたい
日中は一般的な電話代行が受け、夜間や休日は24時間対応の会社が受ける形です。1社で全時間をカバーすると費用が上がる場合、時間帯で分けたほうが安くなることがあります。
業務の性質が違う
一般の問い合わせと、専門知識が必要な技術相談を分けるケースです。前者は一般的な電話代行、後者は業界特化型の会社に任せると、それぞれの得意分野を使えます。多言語対応が必要な窓口だけ別会社にする形も同様です。
障害時の備えを持ちたい
1社に依存していると、その会社でシステム障害が起きたときに窓口が止まります。事業継続の観点から、代替経路を持っておく考え方です。
併用で増える負担
利点だけを見て決めると、運用が破綻します。増える負担を具体的に把握してください。
資料を二重に管理する
応対文、FAQ、担当者名簿、緊急連絡先を2社分用意することになります。担当者が異動したとき、両方に同じ内容を伝える必要があります。片方だけ更新されると、応対が会社によって変わります。
報告形式が揃わない
通知の形式や項目が会社ごとに違うため、受電報告が二系統で届きます。件数を集計するときも、それぞれ別の形式から数える必要があります。KPIを管理している場合、この手間は毎月発生します。
顧客体験が不統一になる
同じ会社に電話したのに、時間帯によって名乗り方や応対の雰囲気が違うと、顧客は違和感を持ちます。応対文を揃えても、品質の差は出ます。
- 資料管理 … 2社分の更新が必要、片方の漏れが事故になる
- 報告集計 … 形式が違うため毎月の手間が増える
- 顧客体験 … 時間帯で応対の印象が変わる
費用面での比較
分けたほうが安くなるかを試算します。
時間帯で分ける場合
1社で24時間対応を契約すると月50,000円、日中のみの会社が月20,000円、夜間専門の会社が月15,000円とします。分ければ35,000円で、月15,000円の差になり年間180,000円です。ただし夜間の着信がごく少ない場合、夜間分の15,000円が無駄になる可能性もあります。夜間の着信件数を確認してから判断してください。
管理工数を費用に換算する
2社分の資料更新と報告集計に月2時間かかり、担当者の時間単価が3,000円なら月6,000円相当です。年間72,000円になるため、先の例では差額180,000円から差し引いて108,000円の効果と見るべきです。
併用が向いているケース
条件を絞ると、次のような場合に限られます。
専門性の差が大きい
技術的な相談と一般の問い合わせが混在し、1社では両方を満たせない場合です。この場合、分ける理由が品質にあるため、管理の手間を払う価値があります。
時間外の着信が一定数ある
夜間や休日の着信が月20件以上あり、その用件の緊急度が高いなら、専門の会社に任せる意味があります。件数が月数件なら、1社の時間外オプションで足りることが多いものです。
窓口自体が別に分かれている
代表番号と、特定サービス専用の番号が分かれているなら、それぞれ別の会社に任せても顧客体験の不統一は起きません。この場合は併用のデメリットが小さくなります。
「お電話ありがとうございます、〇〇サポートセンターでございます」
窓口ごとに名乗りが違って自然な構成なら、分けやすくなります。
一社に集約すべき場合
逆に、集約したほうがよい条件も明確です。
代表電話の1番号だけを運用しているなら、1社に集約するのが基本です。同じ番号を時間帯で分けると、顧客から見た印象が統一されません。また、受電件数が月200件程度までなら、1社のプラン内で収まることが多く、分けるコストのほうが上回ります。
障害への備えを理由に併用するのも、実務上は費用が見合いにくい部分です。代行会社側の冗長構成を確認し、障害時にどう対応するかを契約で確認するほうが現実的です。
まとめ
電話代行の併用は、専門性の差が大きい場合、時間外の着信が一定数ある場合、窓口自体が分かれている場合に限って有効です。それ以外では、資料の二重管理と報告集計の手間が利点を上回ります。
判断する際は、費用差から管理工数を換算して差し引くことを忘れないでください。代表電話1番号の運用なら、1社への集約が基本です。まずは時間外の着信件数と、窓口が分かれているかを確認しましょう。