電話代行の効果を聞かれて「たぶん楽になった」としか答えられない状態は、指標を決めていないサインです。受電件数だけを見ていても、運用が良くなったかは判断できません。
必要なのは複雑な分析ではなく、数個の指標を決めて毎月同じ形で並べることです。ここでは何を測り、どの頻度で更新するかを整理します。
受電件数だけでは判断できない理由
多くの会社が最初に見るのは受電件数です。ただしこの数字は、増えても減っても解釈が分かれます。
件数が増えた場合、機会が増えたのか、営業電話が混じっているのかは区別できません。減った場合も、問い合わせ自体が減ったのか、以前は取りこぼしていた分が見えるようになっただけなのか分かりません。件数は「量」を示すだけで、処理の質を表さないのです。
最低限そろえる四つの指標
指標は多いほど良いわけではありません。毎月無理なく集計できる数に絞るほうが続きます。
用件別の件数
受電を新規問い合わせ、既存顧客、営業、採用などに分類して数えます。総数ではなく内訳を見ることで、機会につながる電話が増えているかを判断できます。営業電話の比率が高いままなら、フィルタリングのルールが機能していないことも分かります。
必須項目の聞き取り率
会社名、氏名、連絡先、用件のうち、報告に記載されていた項目の割合です。連絡先が取れていない報告は折返しができないため、この数字は実害に直結します。項目別に集計すると、どの質問を直すべきかが特定できます。
受電から折返しまでの時間
報告が届いた時刻と実際に折返した時刻の差です。ここは代行会社ではなく社内側の指標で、意外に問題が見つかります。平均だけでなく、最も遅かった案件も併せて確認してください。
未折返しの残件数
終業時点で対応が終わっていない件数です。0件を目標にする単純な指標ですが、放置を防ぐ効果が大きくなります。
- 用件別件数 … 機会につながる電話が増えているか
- 必須項目の聞き取り率 … 折返しができる状態になっているか
- 折返しまでの時間 … 社内側で止まっていないか
- 未折返しの残件数 … 終業時に0件へ戻せているか
費用の指標を一つ足す
運用の指標だけでは、経営判断の材料になりません。費用を1件あたりに換算しておくと説明しやすくなります。
受電1件あたりの実質単価を出す
月額に超過料金とオプション料金を加えた総額を、受電件数で割ります。月額20,000円に超過18,000円が加わって38,000円、受電が260件なら1件あたり約146円です。この数字を毎月並べると、プランが実態に合っているかが一目で分かります。
比較対象を決めておく
単価だけでは高いか安いか判断できません。パート受付を雇う場合の時間単価や、以前の取りこぼし件数など、比べる相手を決めておくと議論が進みます。
更新頻度を三層に分ける
全部を毎日見る必要はありません。頻度を分けると負担が下がります。
日次は未折返しだけ
終業前に未折返しの件数を確認します。これは集計ではなく確認作業で、数分で終わります。翌日への持ち越しを防ぐことが目的です。
月次は四つの指標を並べる
月末に用件別件数、聞き取り率、折返し時間、実質単価をまとめます。前月と並べる形にすると変化が見えます。作業時間は30分程度を見込んでおけば十分です。
四半期は傾向を読む
3ヶ月分を並べ、季節変動と改善の効果を切り分けます。この層で初めて、プラン変更や運用の作り直しといった判断材料になります。
集計を続けるための工夫
指標を決めても、集計が重いと止まります。続ける形にしておくことが重要です。
手作業を前提に設計する
自動化から始めると、仕組みを作る前に挫折します。まずは表計算ソフトに月次の数字を手で入れる形で始めてください。3ヶ月続いて必要性が確認できてから、レポートのエクスポート機能を使った自動化を検討すれば十分です。
見る人と決める人を一致させる
集計する人と判断する人が別だと、数字が報告のための作業になります。プラン変更やルール修正を決める人が自分で数字を見る形にすると、指標が判断に使われるようになります。
まとめ
電話代行のKPIは、用件別件数、必須項目の聞き取り率、折返しまでの時間、未折返しの残件数の四つを基本にし、受電1件あたりの実質単価を加えると経営判断にも使えます。
更新は未折返しだけ日次、四つの指標は月次、傾向は四半期という三層に分けてください。受電件数だけを見ないことが出発点です。まずは今月分の用件別件数を数えて、表に一行入れてみましょう。