DXは「データとデジタル技術を活用し、業務や組織まで変革して競争優位を確立すること」と定義されます。電話対応も例外ではなく、単なる“受電代行”から、通話をデータ化して業務プロセスに組み込む方向へ要件が変わっています。(情報処理推進機構)
なぜ今、電話代行にもDX要件が求められるのか
固定電話網はIP網への移行が進み、従来型サービスの終了・移行が発生しています。たとえば「INSネット(ディジタル通信モード)」は2024年1月以降のIP網移行に合わせて終了した旨が示されています。 この環境変化により、電話は「回線」ではなく「クラウド上の業務インターフェース」として設計し直す流れが加速しています。
また現場運用では、通話内容の記録が手動メモ74.4%と依然多い一方、「録音で自動保存」が増加するなど、記録の自動化ニーズが顕在化しています。(トビラシステムズ)
DX時代に“必須”となる機能カテゴリ
ここからは、電話代行サービスをDX観点で評価するための主要機能を整理します。
連携機能:CRM/チケット/チャットに“つながる”こと
DXの肝は、受電内容が担当者の頭や個人メモに留まらず、業務システムへ流れることです。
- CRM(顧客管理)への自動紐付け(会社名・電話番号キー)
- チケット発行(問い合わせ分類、優先度、期限の付与)
- Teams/Slack等への通知(定型フォーマット、メンション、エスカレーション)
- API/Webhook(自社ワークフローへの組み込み)
「報告メールが来る」だけで止まるとDXになりにくいため、連携方式(標準連携/API/CSV等)を要件に落とすのが重要です。
可視化機能:誰が・何を・どこまで対応したか
属人化を解くには、受付状況の可視化が先です。
- 受付履歴の一覧(検索・フィルタ・タグ)
- 対応ステータス(未対応/対応中/完了)
- SLA管理(折り返し期限、一次回答期限)
- ダッシュボード(件数推移、時間帯別、要件別)
“取りこぼしゼロ”より“追える状態”を作れるかが運用差になります。
自動化機能:録音・文字起こし・要約で「記録」を省力化
通話の記録を手動から外せるかが、DXの体感効果を左右します。実際、録音・テキスト自動保存の利用が伸びていることも示されています。(トビラシステムズ)
録音
- クレーム/カスハラ対策(事実確認)
- 引き継ぎ精度の向上(聞き間違い防止)
文字起こし・要約(AI含む)
- メモ工数削減、共有スピード向上
- FAQ/ナレッジ蓄積の起点になる
ただし、精度・個人情報・保管期間の設計が必要です(後述)。
ルーティング機能:IVR/スキル振り分けで“取次ぎ地獄”を減らす
電話代行は「受ける」だけでなく「迷わせない」ことが価値になります。
- IVR(自動音声応答)で用件を選ばせる
- スキル別振り分け(例:請求/技術/営業)
- 緊急判定(キーワードや選択肢で優先度変更)
- 時間帯・曜日による運用切替(夜間は受付のみ等)
“担当者に全部転送”はDXと逆になりやすいので注意です。
セキュリティ・ガバナンス:データを扱う前提での要件化
DXはデータ活用が前提です。よって電話代行も「外注」ではなく「業務データの委託」として扱う必要があります。
- 権限管理(閲覧/編集/エクスポート)
- 監査ログ(誰がいつ見たか)
- 保管期間・削除ポリシー(録音/文字起こし)
- 個人情報のマスキング、持ち出し制御
- 委託契約(再委託、保管場所、事故時対応)
BCP・継続性:在宅/分散運用に耐えること
IP網移行などの環境変化も踏まえると、拠点依存を減らす設計は重要です。 BCP観点では以下を確認します。
- 災害時の迂回/代替手段(別拠点・別回線)
- 在宅オペレーター運用(品質・監査)
- 障害時の連絡手順、復旧SLA
選定のチェックリスト:要件を“機能”に落とす
導入前に、次を文章化すると比較がブレません。
- 受付範囲:取次のみ/一次回答(FAQ)/予約受付
- 出力:CRM登録、チケット、チャット通知、録音、文字起こし
- ルール:緊急時の判断基準、折り返し期限、担当者不在時の代替
- 管理:権限、監査、保管、削除、再委託、事故時対応
- KPI:一次完結率、折り返し件数、応答時間、要件別比率
まとめ
DX時代の電話代行に求められるのは、電話を「データ化し、業務フローに統合する機能」です。 連携(CRM/チケット/チャット)、可視化(履歴・SLA)、自動化(録音・文字起こし・要約)、ルーティング(IVR)、そしてセキュリティ/BCPまでを要件化できれば、電話対応は“コスト”から“業務改善の資産”に変わります。