クラウド電話システム(クラウドPBX)を導入しても、代表電話の一次受付や繁忙時対応まで社内だけで完結させるのは難しいケースがあります。そこで有効なのが、クラウドPBX×電話代行の連携です。 電話を止めない(BCP)、取りこぼしを減らす、対応履歴をデータ化する——この3点を同時に狙えるのが連携活用の価値です。
クラウド化が進む背景と「連携」の重要性
固定電話の基盤はIP網へ移行が進み、運用も“回線”中心から“クラウド”中心へ寄ってきています。たとえばNTT東日本は固定電話(加入電話・INSネット)の局内設備を、2024年1月1日以降にIP網へ段階的に切替し完了した旨を案内しています。(〖公式〗NTT東日本|個人のお客さま)
この流れの中で重要になるのが、電話を単独で運用せず、業務フロー(CRM/チケット/チャット)に統合する考え方です。
連携で実現できること
クラウドPBXと電話代行を組み合わせると、次のような設計が可能になります。
- 代表電話の取りこぼし削減(不在・会議・テレワークでも一次受付)
- 繁忙時の溢れ呼(オーバーフロー)吸収(社内の集中時間を守る)
- 受付内容の即時共有(Teams/Slack通知、CRM登録、チケット起票)
- 品質と監査性の向上(録音・応対ログ・対応状況の可視化)
参考として、電話業務の調査では「固定電話がまだ8割」といった現状や、通話録音の活用が38.5%など“改善余地”が示されています。(トビラシステムズ)
つまり連携活用は、単なる外注ではなく電話運用の再設計に近い取り組みになります。
代表的な連携パターン
営業時間外は電話代行に切替
クラウドPBX側のスケジュール機能で、時間外のみ代行へ転送します。 「営業時間外の機会損失」を抑えつつ、社内の負担は増やしません。
繁忙時のみオーバーフローで代行に逃がす
一定の呼量(待ち呼)や応答時間を超えたら代行へ迂回。 カスタマーサポートや受注窓口で、SLAを守る設計として有効です。
IVRで要件を分類し、代行は一次受付に特化
IVR(自動音声応答)で「営業」「請求」「サポート」などを振り分け、代行は一次受付・取次・折り返し受付に集中。 “取次ぎ地獄”の解消と、対応品質の平準化につながります。
「連携できる電話代行」に求める機能要件
比較時は価格より、次の機能要件をチェックすると失敗しにくいです。
業務システム連携
- CRM連携(顧客検索、活動履歴登録)
- チケット/問い合わせ管理(起票、カテゴリ、期限)
- Teams/Slack通知(定型フォーマット、メンション)
記録・可視化
- 応対ログ(検索、タグ、ステータス)
- 録音(必要に応じて)
- レポート(要件別・時間帯別の件数)
運用ルールの実装
- 緊急時のエスカレーション(誰に・何分以内に)
- NG対応範囲(回答しないことの明確化)
- 個人情報の取り扱い(保管期間、閲覧権限、監査)
導入の進め方
1) 受付範囲を決める
最初に、代行が行うのは「取次」か「一次回答(FAQ)」かを確定します。曖昧だと、現場の手戻りが増えます。
2) 要件分類とスクリプトを作る
よくある用件を分類し、聞く順番を固定します(会社名→氏名→用件→期限→折り返し可否)。
3) 連携先を最小から始める
初期は「チャット通知+履歴台帳」だけでも効果が出ます。安定したらCRM/チケット連携へ拡張するのが安全です。
4) KPIで効果測定する
- 取りこぼし件数
- 折り返し件数
- 一次受付の完了率
- 応対レポートから見える“不要な電話”比率
注意点
- 代行へ渡す情報が多いほど、セキュリティ要件(権限・ログ・保管)が重要になります
- 連携が増えるほど、例外対応(緊急・クレーム・担当者不在)の設計が成果を左右します
- “録音・文字起こし”は便利ですが、保管・削除ポリシーを決めずに始めると運用負債になりがちです
まとめ
クラウド電話システムと電話代行の連携活用は、代表電話を「止めずに、データとして回す」ための実装です。 時間外切替・オーバーフロー・IVR分類といった設計パターンを使い、連携(CRM/チケット/チャット)と記録(ログ/録音)まで含めて要件化できれば、電話対応は属人運用から“業務基盤”へ転換できます。