結論:何を「目的」に外注するかで選び方は変わる
顧客の取りこぼし防止(一次受電と取次)が目的なら“電話代行”、問い合わせ対応を業務プロセスとして最適化(KPI・SLA運用)したいなら“コールセンター外注(BPO)”が適しています。以下で違いを要素別に整理します。
基本概念と役割の違い
電話代行サービスとは
- 一次受付(一次窓口)に特化。不在時・営業時間外の受電、要件ヒアリング→転送/メール報告が中心。
- 小規模〜中規模事業の「今すぐ電話に出たい」ニーズに強い。
コールセンター外注とは
- 問い合わせ対応のプロセス設計から運用までを請け負うBPO。FAQ整備、スクリプト、品質管理、KPI/SLAでの継続改善まで含む。
- 新規キャンペーン・EC・SaaSサポート・障害対応窓口など、対応量・難易度が高い用途に最適。
比較表(要点早見)
| 観点 | 電話代行 | コールセンター外注 |
|---|---|---|
| 目的 | 取りこぼし防止・取次 | 応対品質の標準化・業務最適化 |
| 範囲 | 受電/取次/一次回答 | 複雑対応、エスカレーション、ナレッジ運用 |
| 体制 | 少人数・共有オペレーション | 専任/半専任・SV/QA/教育体制 |
| 品質管理 | 報告中心 | モニタリング、QA、改善サイクル |
| スケール | 小~中規模 | 中~大規模(多チャネル) |
| 導入速度 | 速い(即日〜数日) | 設計〜立上げで時間を要する |
| 料金傾向 | 月額固定+従量 | 初期費+月額/席課金/従量 |
重要:「一次受付+簡易回答」で足りるか/KPIで改善を回したいかが分岐点です。
料金の目安とコスト構造
電話代行の相場感
- 月額固定: 約5,000〜30,000円(含まれるコール数に上限)
- 従量課金: 超過1件あたり数百円程度が目安
- オプション: 24時間・祝日対応、転送、専用番号、簡易スクリプト などで加算
コールセンター外注の相場感
- 初期費用: 体制設計・スクリプト・FAQ整備で数十万円規模が一般的
- 月額: 席(FTE)単価/時間課金/件課金/通話分課金など契約形態により変動
- 運用費: SV(スーパーバイザー)/QA/教育/レポート/分析 の費用を内包
コスト判断は「1件あたりの獲得価値(LTV/受注率/機会損失回避)」で比較するのが実務的です。“安い”ではなく“費用対効果”で評価しましょう。
品質保証(KPI/SLA)と運用設計の違い
電話代行
- KPI運用は限定的。 レポートは受電件数・要件が中心。
- SLA(応答率/平均応答時間/解決率)の明確な取り決めは限定的。
コールセンター外注
- KPI例: 応答率、ASA(平均応答時間)、AHT(平均処理時間)、一次解決率、CSAT、NPS 等
- SLAでの可視化と改善が前提。モニタリング、品質評価(スコアリング)、研修で改善を継続。
機能・チャネルの広がり
- 電話代行: 電話中心+メール/チャット連絡
- コールセンター: 電話・メール・チャット・SNS・FAQ/ヘルプセンターを統合。CRM/CTI連携、オムニチャネル設計が可能。
セキュリティ・法令順守
- 個人情報の取扱い(PMS/ISMS等)、通話録音/保存期間/アクセス制御を要チェック。
- 委託先の情報管理体制(監査証跡・教育・権限管理)はコールセンター外注でより重視。
代表的なユースケース
電話代行が向いているケース
- 少人数事業の受電取次(士業、個人医院、美容、工務店など)
- 営業時間外・休暇時の保険としての一次受付
- リード一次対応(折返し前提の用件整理)
コールセンター外注が向いているケース
- ECカスタマーサポート(注文/配送/返品/決済)
- SaaS/製造/金融のテクニカル/アカウントサポート
- キャンペーン/テレビ放映直後の大量入電やクレーム/障害窓口
- 多言語対応・24/365稼働・オムニチャネル要件
導入までの流れ(実務フロー)
電話代行(短期立ち上げ)
- 目的・時間帯・報告方法の定義
- スクリプト(挨拶・ヒアリング項目)の簡易設定
- テスト受電→修正→運用開始(即日〜数日)
コールセンター外注(設計〜PoC)
- 目的/KPI・SLA策定、FAQ・フロー設計、体制(SV/QA)と席数定義
- CTI/CRM連携、通話録音・レポート設計
- 研修・UAT・PoC→段階展開(数週〜数か月)
選定チェックリスト(失敗回避)
- 目的は一次受電か、業務最適化か
- 規模(入電量の季節変動/ピーク予測)とスケール要件
- 対応範囲(一次回答で十分か/要エスカレーションか)
- KPI/SLAの必要度と改善サイクルの合意
- セキュリティ/録音/保存/監査要件
- レポート粒度(日次/週次、指標項目)
- 料金形態(固定/従量/席/時間/分課金)の適合性
- 解約条件/最低契約期間とピーク時の弾力性
- 将来の多チャネル化・CRM連携の拡張余地
具体例(イメージ)
- 工務店(従業員10名):現場で電話に出られない→電話代行で要件と緊急度を整理、折返し率向上。機会損失の最小化が主目的。
- D2C EC(出荷1,000件/日):配送・決済・返品の定常問い合わせ→コールセンター外注でFAQ/スクリプト化、AHT短縮と一次解決率改善、週次レポートで継続改善。
まとめ:判断軸は「深さ×量×改善」
- 深さ:一次取次で足りる→電話代行/プロセス最適化が必要→コールセンター
- 量:入電量が小~中→電話代行/中~大でピーク大→コールセンター
- 改善:KPI/SLAで回したいならコールセンター、スピード重視なら電話代行
最終指針:“今の課題を最短で解く形から開始し、将来要件に合わせて拡張”が失敗しない進め方です。