電話代行サービスは録音されている?通話データの保管期間と扱い|BtoB発注側の確認事項

セキュリティ/法令
公開日 : 2026-08-17更新日 : 2026-08-17
電話代行サービスは録音されている?通話データの保管期間と扱い|BtoB発注側の確認事項

電話代行サービスを導入する際、通話録音は品質管理・トラブル防止に役立つ一方で、個人情報を含むセンシティブなデータでもあります。
「録音されているのか」「どこに保管されるのか」「どれくらい残されるのか」——発注側が確認すべきポイントを整理します。

通話録音の現状

多くの業者で録音している

国内の電話代行サービスでは、通話を録音している業者が大半です。理由:

  • 応対品質のモニタリング・教育
  • トラブル発生時の証跡
  • 業務の継続性確認(オペレーター不在時の引継ぎ)
  • AI解析による業務改善

録音していない業者もある

プライバシー重視で録音しない業者もあります。

  • 法律事務所・医療機関など秘匿性の高い業務向け
  • 顧客が「録音されたくない」と要望した場合

通話録音と個人情報保護法

通話録音 = 個人情報

通話内容には氏名・電話番号・取引内容などが含まれるため、個人情報保護法の対象です。
委託先が録音する場合、委託元として適切な監督が必要です。

個人情報保護委員会のガイドライン

委託先が個人情報を扱う場合、委託元には以下が求められます:

  • 委託先の選定基準
  • 契約での安全管理措置の明文化
  • 委託先の取扱状況の把握

録音データもこの対象に含まれます。

発注側が確認すべき5つのポイント

① 録音の有無

  • そもそも録音しているか
  • 全通話か、抽出して録音か
  • 録音している場合の通知の有無(応対冒頭の「録音させていただきます」アナウンス)

② 保管期間

  • 何日・何ヶ月・何年残されるか
  • 一般的な期間:1〜6ヶ月
  • 業界によっては1年以上保管するケースも

③ 保管場所と暗号化

  • クラウドストレージ?オンプレミス?
  • 国内サーバー?海外サーバー?
  • 保存時の暗号化(AES-256等)
  • 通信時の暗号化(TLS)

④ アクセス制御

  • 録音にアクセスできる権限者の範囲
  • アクセスログの記録
  • 多要素認証(MFA)の有無
  • 第三者への提供条件

⑤ 削除ルール

  • 保管期間経過後の自動削除
  • 委託元から削除を要求する手段
  • 削除証明書の発行

契約書で明文化すべき事項

通話録音に関する条項

第◯条(通話録音の取扱い)
1. 受託者は、本業務の通話を録音することができる。
2. 録音データの保管期間は最大◯ヶ月とし、期間経過後は自動的に削除する。
3. 録音データへのアクセスは、業務上必要な範囲に限定する。
4. 委託元の請求があった場合、受託者は速やかに録音データを削除する。
5. 漏洩・紛失その他の事故が発生した場合、受託者は◯時間以内に委託元に報告する。

NDAとの連動

標準的なNDAに加えて、通話録音特有の取扱条項を追加するのが望ましい。

録音データの活用例

品質改善

  • オペレーターの応対をモニタリング
  • 改善点の特定とフィードバック
  • スクリプトの最適化

トラブル対応

  • クレーム発生時の事実確認
  • 「言った・言わない」の証拠
  • 警察・弁護士への提出資料

AI解析

  • 受電内容の傾向分析
  • ハイリスク案件の早期検知
  • 商談化率の予測

録音されることへの顧客への通知

アナウンスの一般的な形式

「お電話ありがとうございます。応対品質向上のため、通話を録音させていただいております。」

冒頭のアナウンスで通知すれば、顧客の同意取得としての扱いになります。

通知しないケース

  • 既存顧客で事前に告知済み
  • ホームページのプライバシーポリシーで明示

ただし、初めての発信者には冒頭アナウンスが安全

海外サーバー利用時の注意

海外(特にEU・米国)のクラウドに録音を保存する場合:

  • GDPR(EU)への対応:EU市民の通話を録音する場合
  • クラウドの管轄法:データの所在国法に従う
  • 越境データ移転:個人情報保護法の同意取得が必要なケース

国内サーバーのみ使用する業者を選ぶのが最もシンプル

業者選定のチェックリスト

必須

  • プライバシーマークまたはISMS取得
  • 国内サーバー利用
  • 保管期間と自動削除の仕組み
  • アクセス制御
  • 漏洩時の報告SLA

推奨

  • 委託元からの削除要求対応
  • 削除証明書発行
  • 定期的な監査報告
  • ISO/IEC 27001:2022対応

トラブル事例から学ぶ

典型的なリスク

  • オペレーターによる持ち出し(USBメモリ等)
  • クラウドアカウントの不正アクセス
  • 退職者のアクセス権削除漏れ
  • バックアップ媒体の紛失

対策

  • 物理メディアの持ち出し禁止
  • 多要素認証(MFA)
  • 退職時の即時アクセス権剥奪
  • バックアップの暗号化と管理場所の限定

顧客からの削除要求への対応

個人情報保護法では、本人から個人情報の削除請求が可能。

フロー

  1. 顧客から削除要求 → 委託元(自社)が受付
  2. 委託元が委託先(電話代行業者)に削除指示
  3. 業者が該当録音を削除
  4. 削除完了報告

この流れを事前に業者と合意しておく必要があります。

まとめ

通話録音は電話代行の品質管理に欠かせない一方、個人情報を含むセンシティブなデータとして慎重な扱いが必要です。

発注側として確認すべきは、録音の有無・保管期間・保管場所・アクセス制御・削除ルールの5点。これらを契約書で明文化し、定期的に運用状況をレビューすることで、リスクを最小化しながら録音のメリットを享受できます。

業者選定ではプライバシーマーク・ISMS取得を必須条件とし、海外サーバー利用がないかを確認することが、最もシンプルなリスク管理になります。